2016年9月10日(土)、11日(日)に1泊2日の日程で鹿児島県鹿児島市(谷山北公民館、ふれあいスポーツランド)で鹿児島県レフェリーキャラバンを開催しました。レフェリーキャラバンとは、JFAと47都道府県サッカー協会(47FA)審判委員会が同じ方向性をもって、継続的に審判員と審判インストラクターのレベルアップをはかることを目的とした活動です。
今回は4級~2級の資格を持つ若手の審判員と3級~2級の資格を持つ審判インストラクターの方々を中心に2日間で30名以上の方にご参加いただきました。
レフェリーキャラバンの位置づけを参加者全員で共有した後、審判員とインストラクターに分かれて、それぞれのプログラムを実施しました。
1日目、審判員は、「審判員の魅力」・「フィジカルトレーニング」・「プラクティカルトレーニング」を受講し、審判活動をすることの楽しさや醍醐味を学びながら、実際の試合で活用できる動きや審判実技のトレーニングを行いました。インストラクターは、今後の県内での審判員向け研修会や講習会での活用を目指し、新しい指導方法のひとつである「チュータリング」の講習を受講しました。
2日目は、全員で2016/2017競技規則について改正点を整理し、審判員は「FKマネジメントの講義」、インストラクターは「より正しい競技規則の解釈の重要性」などを学びました。最後には全員でFIFAからJFAに共有されているITを活用したテストやクイズを体験しました。
9月に入っても暑さの残る鹿児島での開催でしたが、集まった方々の積極的な参加により非常に濃密な2日間となりました。
インストラクターコメント
山田修平 JFAインストラクター
昨年、この事業が立ち上がったときから開催を希望してくださっていた鹿児島県でしたが、全国でも多くの応募がある中、スケジューリングできず、待ちに待った開催となりました。2日間のプログラムは、事前打ち合わせで確認した鹿児島県の現状を踏まえ、インストラクター用と審判員用にわけた12のセッションが実施しました。
平均年齢20才という若い審判員の多くは、S級レフェリーインストラクターやトップフィジカルコーチ、プロフェッショナルレフェリーから直接指導を受ける機会は初めての経験で、自分の意見をうまく表現できない場面も見られました。しかし、1日目にグラウンドで実施したフィットネストレーニングやプラクティカルトレーニングでは、それぞれが個性を発揮し、審判員たちの将来性を感じられる場面がいくつも見られました。
インストラクターは、1日目にチュータリングという新しい手法を学び、2日目の両者合同セッションでは、初体験のTeaching Materialを使うなかで、チュータリングが目指す審判員へのアプローチを意識した研修を経験し、当初緊張していた審判員からも積極的に意見を引き出すことができました。今回のキャラバンの経験をステップに、鹿児島県ならではのアイデアが盛り込まれ、県内への普及と強化がさらに進むことを期待しています。
受講者コメント
萩原貞明鹿児島県サッカー協会審判委員長
今回のレフェリーキャラバンでは、鹿児島県内のレフェリーやインストラクターの資質向上と、審判を始めて間もない審判員が審判そのものに興味を持つことを目的の一つに実施しました。県内各地からの参加者が充実したプログラムに沿って、お互いにディスカッションし、審判技術や指導法を実践し、その中でコミュニケーションを深く重ねることができたことは、とても有意義な機会となり、JFAの講師の方々のエネルギッシュな指導を受けることができました。
鹿児島県は、12月に「全日本少年サッカー大会」やJリーグチームのキャンプ地になっており、いろいろなことを学ぶことができる環境でもあります。また、2020年に国民体育大会も開催されます。このレフェリーキャラバンを1つのきっかけとして、一人でも多くの審判員が意欲を持って、技術向上や上級へのチャレンジができるように環境整備をしていきたいと考えています。サッカーのレベルアップとともに、審判員とインストラクターのレベルアップと若手審判員の育成につながるきっかけをいただいたJFA審判委員会の皆様に感謝いたします。
小牟田雅浩 3級インストラクター
2日間に及ぶJFAキャラバンの開催にあたり、JFA審判委員会の方々に感謝申し上げます。都道府県FA開催のトレセンでは実践しがたいプログラム内容を受講できたことは、参加者全員が大きな刺激を受けたことと思います。審判員及び審判インストラクターの普及・育成・強化といっても一つの問題に対処することで解決するわけではありません。
今回のJFAキャラバンにおいては、多種多様な方法で審判員と審判インストラクターにアプローチし、最新情報や話題の共有、機器の充実及び活用、講義の在り方などにより、知識や技術の向上はもちろんのこと、「それにプラスして何が求められるか」を考えなければならないと実感しました。オープンで自主的・対話的・積極的な現場こそ、そのような人を育てることができるということを知り、次は我々の出番だと感じています。今回のキャラバンにて体験したことを、どのように県内の普及・育成・強化につなげるかがポイントだと考えています。審判員は何を求めているのか、どのような課題に直面しているのか、その解決に向けた取り組みを審判インストラクターとして責任を持ち支えていきたいと思います。
白石隆晃 2級審判員
今回のキャラバンでの内容は、私にとってはどれも新鮮なものばかりで多くのことを吸収することができました。1日目はプロフェッショナルレフェリーの東城さんから「審判の魅力」についてお話しいただき、私が感じていた魅力と重なるところもあり、ますます審判は面白いと感じました。午後からのフィットネストレーニング理論の講義はこれまで持っていなかった視点でのお話だったのでとても勉強になりました。今後日々のトレーニングの中にも取り入れていきたいと思います。プラクティカルトレーニング実践で行った、オフサイドを判定した後すぐにビデオの映像をみて振り返るというトレーニングは、自分の感覚と実際のプレーとの間にどれだけのギャップがあるかを知ることができ良かったです。
2日目はフリーキックのマネジメントというテーマでの講義がありました。ファウルが起こったあと普段何気なく行っているフリーキックですが、手順をしっかりと押さえてフリーキックをマネジメントすることがより良いゲームコントロールに繋がることを理解しました。今回のキャラバンで学んだことを今後のゲームに生かし、上級審判員になれるよう日々レフェリング技術向上のために取り組んでいきたいと思います。