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日本の審判員育成に携わったレイモンド・オリヴィエ氏による3年間の活動報告 #jfa

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イングランドサッカー協会およびプレミアリーグをはじめとするプロリーグの審判を統括する組織(PGMOL)で長年指導に携わり、2017年からJFAの審判戦略経営グループシニアマネージャー、2018年からは審判委員会副委員長として日本に駐在していたレイモンド・オリヴィエ氏の常駐勤務が2020年末で一区切りを迎えました。新たなシーズンを前に、日本の審判員や審判インストラクター達の育成に携わったこの3年間を振り返りました。

※2018年11月撮影

コメント

レイモンド・オリヴィエ(JFA審判戦略経営グループシニアマネージャー)

来日前、日本の審判員に対する印象は?
当時JFA審判委員長であった小川さんの依頼で、2016、2017年と研修会を行うために来日する機会をいただきました。4度の来日で計50日以上日本に滞在し、自己研鑽への意欲が高くサッカー理解の向上にとても熱心である審判員たちに非常に感銘を受けました。彼らは、私がトレーニングを行った世界30カ国以上で見た審判員達の中でもフィジカルの面では抜群に優れていました。

来日後、実際自分の目で見た日本のサッカー審判員や教育プログラムの印象は?
日本の審判員は技術的、フィジカル的に恵まれており、競技規則にも精通しています。彼らの学びたいという情熱は私のトレーニング実施をとても容易にしてくれました。私のセッション中、彼らの姿勢はリスペクトに溢れ、学びたい、スキルを向上させたいという意欲を示してくれました。しかしながら、私が来日した時点では、審判員たちの知識の確固たる基盤は築かれていたものの、育成の焦点は主に競技規則の技術的側面、特に「白か黒か」の判定に基づいたものでした。

日本駐在の3年間、最も注力した分野は?
日本の審判を改善するため多くの計画を一定期間にわたり考案しましたが、私の主な仕事は、Jリーグというプロの試合で、1級審判員を強化し、また審判インストラクターと審判アセッサーを養成することでした。私が最も注力したのは、「試合への共感」、「サッカーの理解」、そして「サッカーが期待すること」の理解を改善することでした。全ての審判員は試合毎に求められるニーズへの共感を持ちあわせなければなりません。最高の審判員は感情の無いロボットであってはならないのです。真に最高の審判員は、試合を「理解」し「感じる」ことが出来るのです。
もう一点注力したのは、審判教育プログラムにおけるコーチングスキルを審判インストラクター達へ伝授することでした。コーチングは、人々のスキルや能力アップ、そしてパフォーマンス向上に非常に有効であり、審判員達が自分で考え行動出来るようにするものです。コーチングの目的は、自己発見による学習を促進することであり、また、審判員が自身の考えを伝えるための洞察力や経験が足りない場合にのみ情報を提供することです。

実際に日本で仕事をしてみての感想は?
日本に住み、JFAで働いたことは、自分の人生の中で最も素晴らしい経験のひとつとなりました。多くの思い出は私の一生の宝です。各地のスタジアムでお会いした多くのサポーターの方々を含めJFAの皆さんに歓迎いただき、感謝の気持ちでいっぱいです。

今後、日本のサッカー、そして審判教育はどうあるべき?
私の経験から、審判は単独では機能しません。ともすれば、「彼ら(選手、コーチ)」対「我ら(審判)」になってしまいます。審判と競技会の間には敵対や混乱の関係を持つべきではなく、日本サッカー発展のために協働しなければなりません。そのためには全ステークホルダーとの緊密な関係構築が必要です。また、審判員が競技者の視点からゲームを理解することも重要です。「ゲームの精神」「サッカーの理解」そして「試合への共感」を理解することにより競技規則を柔軟に適用することが可能となるのです。

2021年以降、JFAとの協働予定は?
引き続き審判の技術的な専門分野と知識の面でJFAの審判教育に携われることを非常に嬉しく思います。通常は、英国からのリモートになりますが、年に数回、日本を訪問してトレーニングセッションや研修会を開催する機会があるので、今までどおり審判教育プログラムに一緒に取り組んでいくことになります。

コメント

黛俊行(JFA審判委員長)
レイさんは、世界のトップリーグのひとつであるプレミアリーグの審判員教育の知見を共有いただき、日本の審判員や審判指導者のレベルアップに大いに貢献しました。特にレフェリングにおける「試合への共感」「サッカーの理解」「サッカーが期待するもの」という考え方や「フットボールコンタクト」の十分な理解が重要であることを日本の審判員に浸透させてくれました。また、日本の習慣や文化を理解し、リスペクトいただいた上で、様々な提案や各種セミナー等を実施してくれました。今年からはイングランドを拠点とされますが、今やスタンダードになったオンラインセミナーや、日本で開催される研修会での指導も含め、今後とも引き続き日本サッカーの発展にお力をいただきたく存じます。


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