2015年10月10日(土)・11日(日)、神奈川県横浜市にてJFL担当審判員研修会を実施しました。
本年度最後となる今回の研修会には、多くの審判員が参加することができ、体力テストに始まり、講義、ディスカッション、グループワークに加えて、プラクティカルトレーニングも実施し、非常に密度の濃い研修会となりました。
2日間の日程を通して、1級審判員としての準備や心構えにも触れられ、審判員の表情も引き締まるものがあったと感じることができました。
インストラクターコメント
河内耕一郎元JFA審判委員会副委員長
今回の研修会全般を通して、参加者は皆、参加の意義を認識して臨んでおり、真面目で真摯に取り組んでいる姿勢を見ることができました。講義の中でも積極的に発言を行い、インストラクターからの一方通行にならない研修会であると同時に、的を射た解答が多くありました。講義での発言や質問を積極的な姿勢で行っている審判員は、座学に留まらず体力テストやプラクティカルトレーニングでも積極的であり、非常に目立っていました。日々の審判活動に加えて、研修会での様子は審判員自身の1級審判員としての誇りや姿勢を表しているものだと感じることのできた研修会でした。
体力テストやプラクティカルトレーニングでは「準備」の大切さを強く感じることができました。「準備」とは審判用具はもちろん日々のトレーニング、サッカーそのものの予備知識などが含まれているということを再確認することができました。またトレーニングはあくまでゲームでの活用のためのトレーニングであることも認識をもつことができた研修会だったと思います。プラクティカルトレーニングは、実践のゲームの中で起こる出来事を想定したもので、その事象の対応が最大課題であるものの、一方でそれまでの過程も重要な解決策であり、また後の処置や再開時の対応も大きな課題であると認識することで、コントロール力が格段にあがり、非常に期待の持てる研修会となりました。
黛俊行 S級インストラクター
今回の研修は、2015年度開幕前に実施したフィジカルテスト以降のこれまでの取り組みと成果の確認、フリーキックマネジメントを取り上げ、また、第4回の研修内容に続いて、ペナルティーエリア付近のフリーキックマネジメントにおける気づきや手順、優先順位、ポジショニングの重要性についても取り上げました。副審は、副審の任務の確認とコーナーキック時のオフサイドの判定をプラクティカルトレーニングで行いました。フィジカルテストでは、スタンディングジャンプ、アジリティーテスト、Yo-Yoテストの三種目を行いました。Yo-Yoテストでの最高記録は88往復、全体平均が66往復となり、高い意識・モチベーションで日々のトレーニングに取り組んでいた審判員たちの非常に優れた結果を見ることができました。(※参考:UEFAがレフェリーに求めている往復回数の期待値は45往復)
フリーキックマネジメントについては、ディスカッションと講義を行ってから、プラクティカルトレーニングに臨みました。ファウルの起きた位置と状況、選手の意図、ファウルの質、その時の雰囲気等々、次に起こりうることへの気づきに繋がる情報を収拾することや、得た情報を素早く処理して適切で迅速な対応を行うことや、ポジショニングなどに強い意識が必要ということを再確認できました。2015年シーズンも佳境に入り、試合の難しさも上がることが予想されるため、選手やチームが満足の行く試合内容でシーズンが終われるよう約束して閉会となりました。
審判員コメント
内田康博 1級審判員(山口県)
今回の研修ではフィジカルテストを行い、現在の自分のフィジカルコンディションを客観的に理解することができました。自分で思っていたよりもアジリティの順位が上位であり、今まで苦手だと思っていた分野に自信がつきました。また、たち幅跳びやYO-YOテストを大勢の審判員と一緒に行うことにより、日常に無い刺激を受けることができました。室内の研修では、ファウルやアドバンテージの映像を見て様々な意見を聞くことができて勉強になりました。事象が起きた場所だけを見るのではなくて試合全体を把握してコントロールすることの重要性に改めて気付きました。最後のプラクティカルトレーニングでは、コーナーキックからのファウルやオフサイドについて映像を取って頂き、直後に確認させてもらうことによって(インスタントフィードバック)、判断の誤りやなぜ判断できなかったのかを理解することができました。今年度最後のJFLカテゴリーの研修でしたが多くの審判員と時間を共有できてとても良かったです。今回の研修で得たことを残りの試合に生かせるように頑張りたいと思います。
■YO-YOテストとは:シグナル音に合わせて20m区間の往復走を行い、往復走の後に短い休憩を挟んでインターバル走を繰り返す持久力テストです。レベルが上がるにつれてシグナル音の感覚が短くなっていき、音に遅れることなくゴールできた回数で評価を行います。
※休憩を挟まない、もしくは休憩を短くするテストの方式もあります。
■YO-YOテストの目的:有酸素性能力の測定を目的としています。強度の高いエクササイズの後の回復能力に焦点を当てています。