日本サッカー協会は2016年4月16日(土)・17日(日)、1泊2日の日程で兵庫県明石市立産業交流センターならびに三木総合防災公園陸上競技場を使用して兵庫県レフェリーキャラバンを実施しました。参加者は13都市協会の審判委員長、現2・3級インストラクターで都市協会3・4級審判員を指導するリーダー、更に次期都市協会3・4級審判員指導者の方、そして2・3級の若い審判員の方々です。
実施したプログラムは、将来構想プロモーションやLearning Cycle、映像を使ったレフェリー分析、チュータリングの紹介とプラクティカルトレーニング理論と実践といった内容です。事前に研修を行えなかった関係でレフェリー分析に関しては宿題という形で1試合分の映像を送り、事前に分析を行って、受講者には参加してもらいました。また、参加審判員には指導者のセッションと平行してFIFAの指導教材であるTeaching Material、Learning Moduleを使用したセッションや参加したPRの山本雄大主審から「サッカー審判員の魅力」「Teaching Material、Learning Module」を使って判断するための考慮事項について、更にトレーニング実践として、フィジカルトレーニングとプラクティカルトレーニングを参加者に体験してもらいました。
インストラクターコメント
黛俊行 JFA審判委員会
今回のキャラバンは九州地域、特に熊本県での震災状況が幾度となく報道される中での実施ということで阪神淡路大震災を経験している参加者の皆さんの中には複雑な気持ちで参加された方が多くおられたのではないかと推察します。被災された経験のある人達だからこそ受け取れる熊本の被災者に対する思いを胸に秘めながら、指導者、審判員ともに意欲的で失敗を恐れず積極的にセッションに参加していただくことができ充実した時間が持てたことを感謝します。
日本サッカー界創世記から輝かしい歴史を積み上げてきた兵庫県サッカー協会ならびに審判委員会が今回の研修を機に、13都市協会の更なる団結と発展に向けてのきっかけになったとすれば幸いと感じています。今後も指導者、審判員の育成強化が円滑に進むようJFA審判委員会はフォローアップしていくことを約束し、キャラバンを無事終えることが出来ました。改めて準備に際し多くのご協力を頂いた兵庫県サッカー協会の皆さん、特に準備段階から陣頭指揮を取り綿密な準備を進めるとともに、現場での突然のスケジュール変更にもフレキシブルな対応していただいた関係者の皆様に感謝申し上げます。
受講者コメント
大西弘幸兵庫県サッカー協会審判委員長
13都市協会・県協会の絆強化と審判指導の実践を学ぶ」をテーマに、今回のレフェリーキャラバンは実施されました。兵庫県は東西はもとより、北は日本海、南は瀬戸内淡路島と比較的広範囲にわたる地理的条件の中に13の都市協会が存在し、「都市協会審判トレセン」や「各都市協会が実施する種々の研修会」などを通じて審判指導を行ってきました。しかし、地域割りや人口密度・気象などの様々な環境条件から、登録審判員数のみならずその活動においても温度差が生じていく現状があり、「各都市協会審判委員会の運営と県審判委員会の活性化、ベクトルを合わせた審判指導のあり方」は大きな課題となっていました。
今回、このレフェリーキャラバンの実施に伴い、13都市協会の「全審判委員長」 「各都市協会の3級インストラクター」 「各都市協会の次期リーダー」 そして 「ユース世代の若い審判員」が一同に会し、充実したプログラムのもと、お互いに議論し、実践し、コミュニケーションを深く重ねることができたことは、大変有意義な機会となりました。参加した皆さんからは、「ともすれば一方通行になってしまう研修会を見直し、キャラバンを通じて学んだこと、感じたことをそれぞれの都市協会に持ち帰り、どのように浸透させ、どのように具体化していこうかを考え出しました」と早速の嬉しい言葉が届いています。このキャラバンを1つのきっかけとして、13都市協会・県協会が更に一丸となり、兵庫なりの新しいきっかけづくりにトライし、きらきらと輝く目を持った審判員を一人でも多く育てていきたいと感じました。
笹部優 3級審判員
今回レフェリーキャラバンに参加させて頂き、2日間で沢山の刺激を受けることができました。1日目の講習は、緊張から始まりましたが、プロフェッショナルレフェリーの山本雄大さんの審判になったきっかけや自分で立てていた目標などのお話をしていただいたことで、みんなが話をしやすい雰囲気を作ってくださいました。その後は実際に12個の動画を見て、「ノーファウル・ファウル・警告・退場」の4項目に分ける課題をグループで討論しました。繰り返し動画を見たり、山本さんからアドバイスを頂いたりすることで、選手同士の距離やスピード等今までより色んな視点から考えることができるようになりました。
2日目のプラクティカルトレーニングでは、悪天候により、カリキュラムが一部変更となりましたが、山本さんからウォーミングアップの方法を教えて頂いたり、インストラクターの方々が考えて下さったメニューを実践しました。副審のトレーニングでしたが、実践後すぐに映像を見たり、インストラクターの方々からアドバイスを頂いたりすることで、ラインキープがきちんとできていなかったことなどが確認できました。また副審サイドの色んなことが起こる状況で、ボールが出た瞬間に音だけで反応するのではなく、どこに視線を置いて実際目で見ることの重要性を知ることができました。今回のレフリーキャラバンで学んだことを生かして今後も審判活動に努めていきたいと思います。また、“Recap”の大切さを子どもたちにも伝えていきたいと思います。
藤井康充 3級インストラクター
まず初めに、熊本九州被災者の皆さまのご無事をお祈り申し上げます。今回のキャラバンに参加する前日にこの様な災害が発生し、過去の被災者として複雑な思いで参加させて頂きました。はじめにJFAが「アクションプランII」を打ち出し、今回の研修がJFAと地域・都道府県FAとで審判員・審判インストラクターの強化・育成を進める第一歩として実施されたプログラムである事の説明がありました。その1つの指導方法として今回は「チュータリング」の考え方や手法を学びました。実践するにあたり、審判員が活発に活動でき、失敗を恐れずにチャレンジできる又は、意見が言える環境作りが重要です。そういった環境、雰囲気を作り、本音を聞き出し、本質を見抜き、問題に対し一緒に解決へ向かう事の重要性を学びました。これからの自身の活動において今回学んだ「チュータリング」を指導アイテムの1つとして実践し、自身も失敗を恐れず、学びを忘れず共に成長して行きたいと思います。