5月から9月にかけて全8回の副審プラクティカルトレーニングを実施しました。約150人の審判員が試合の合間をぬって分散で参加し、副審に必要な高度なテクニックを身につけるためフィールド上で反復練習を行いました。また、フィジカルトレーニングのパートも入れ、各個人のトレーニングスキルアップも行いました。
主催者コメント
宮島一代Jリーグ審判デベロプメントマネジャー(日本サッカー協会)
オフサイドは決定的な場面に直結することが多く、副審の正確な判断が求められます。オフサイドでないものをオフサイドと判定してしまうエラーの原因の一つに、「運動する競技者が運動方向に進んだ位置に知覚される現象が起こること」が挙げられます。この錯覚を解消することは困難であり、極めて頑固な現象です。改善するには、トレーニングを繰り返し、騙されている脳を騙し返す「矯正力」を高めなければなりません。そのために、シーズン開幕から定期的にトレーニングの場を設定しました。
トレーニングでは、デモンストレーターが創出する様々なオフサイドの場面を判断し、その場で映像を確認します。そして、現場での見え方と映像を比べてそのギャップを埋めていきます。デモンストレーターの皆さんには、「オフサイドポジションにいるかどうか」だけではなく、「戻りオフサイドかどうか」「相手競技者に影響を与えたかどうか」という難しいリクエストにも応えていただきました。また、フィジカルフィットネスプロジェクトの皆さんにもご協力いただき、コンディションを保つための効果的なトレーニング方法も学ぶことができました。多くの皆さんの協力のおかげで、毎回有意義なトレーニングができたと感じています。
ぜひ、トレーニングの内容を整理し、リーグ終盤に向けて十分な準備をして試合に臨んでほしいと思います。最後に、デモンストレーターとしてご協力いただいた、江戸川大学・桃山学院大学のサッカー部の皆さんに心より御礼を申し上げます。
参加審判員コメント
緒方孝浩 1級審判員(福岡県)
今シーズン2回目の副審プラクティカルに参加しました。前回のトレーニングを終えて、オフサイドの精度が高まったことを実感していたので、今回も実りあるものにしたいと思い臨みました。
今回は、副審の動きに応じたフィジカルトレーニング、前回同様のプラクティカルトレーニングに加え、インストラクターから与えられたテーマだけではなく、審判員が自ら考えたトレーニングでグループワークを実施しました。私たちのグループでは、副審として難しいと感じる、副審の左側のタッチライン際からボールが出るシチュエーションでのタッチジャッジとオフサイド判定を行いました。ボールの出所とオフサイドポジションを同一視野に入れることが難しい状況でのトレーニングです。トレーニングの中では、審判員同士でお互いの動きの癖を指摘し合ったり、視野の確保をするための身体の向きで工夫していることなどを共有したりして、グループで一体感を持って取り組むことができました。
これからシーズン終盤へ向けて厳しい試合が多くなりますが、今回の研修で得たものを生かして今シーズンを良い形で終われればと思います。
小出貴彦 1級審判員(長野県)
副審プラクティカルトレーニングに参加するにあたり、特にインパクトの見極めを意識して臨みました。コーナーキックやフリーキックからの再開で、その後のゴールキーパーへのインパクトを見極めるトレーニングを行いました。
競技者の位置関係やボールの軌道を把握するタイミングを再確認することができました。また、主審と状況をすり合わせる際の具体的かつ明確に伝えられるような情報収集・処理、発信方法を見直すきっかけにもなりました。副審としてよりよいサポートをできるようにしたいと改めて感じています。
集合形式で様々なカテゴリーの審判員と取り組み、とても充実したトレーニングでした。各リーグが終盤戦となる中で、今回のトレーニングで得たものを整理し、良い準備をして試合に臨みたいと思います。
若宮健治 1級審判員(京都府)
今回の研修では様々なカテゴリーの審判員が集合し、経験のある審判員から副審としての視野の取り方や主審に対して分かりやすいフラッグの使い方など、丁寧にアドバイスいただき大変貴重な機会となりました。
デモンストレーターの方に協力していただき、実際の試合場面を想定したオフサイドのトレーニングを行いました。その中で課題だと感じたのは、自分の目で見たものと、録画した映像とのギャップです。常に動いていく選手とボールを正確に目で捉えていくためには正しいポジションにつくこと、そして目線を切り替えながらボールの出所とオフサイドラインにフォーカスするタイミングが大切だと改めて感じました。
終盤戦に向けて、日頃から良い準備ができるよう心がけ、高い集中力で試合に臨み、さらなる自身のレベルアップに繋げていきたいと思います。