カンボジアのサッカー事情(とうとうコロナが来た2021年)
コロナ禍と言われながら2020年を市中感染なく終えたカンボジアは、2021年シーズンの開始直後、初の市中感染(のちにカンボジア政府が「2月20日事案」と命名)により、市民生活もサッカーの大会も大きな影響を受けました。カップ戦は地方予選を大幅に縮小し、プロリーグは2回戦制を1回戦と上位下位リーグに分けて試合日程を調整し、なんとか最終順位決定まで行うことができました。ただ、2020年末からスタートしたU18、U15リーグは中断・延期を余儀なくされ、最終的に約半分の試合を消化した段階で打ち切りとなりました。女子リーグはリーグ戦を終え、トップ4によるプレーオフまでたどり着いたものの、決勝を残して打ち切りとなりました。
審判は、2021年シーズン当初は感染者もなく平穏でした。しかし中盤以降、試合後に選手の陽性が判明して審判が濃厚接触者として自己隔離となる、審判1名が試合前チェックで陽性となり審判全員が濃厚接触者(宿泊代節約のため4人一部屋で過ごした)となって審判入れ替えのため試合が1日延期になる、審判1名が陽性となったが遠隔地で試合延期ができないため地域居住のアセッサーを第4審判に任命して試合を行った、など想定はしていても対応の限界を迫られるような事態が複数発生しました。それでも大過なくリーグを終えられたのは多分に運が良かったと思います。
カンボジアでは15人以上の集会禁止などの規制がありましたが、カップ戦とプロリーグは特例で無観客試合が認められました。10月末にこれらの規制が解除となり、それまで一切開催することができなかった審判研修会を12月に連続して4コース実施することができました。3週間泊まり込みということもあり、運営が大変でコース期間も年間予定のたった1/3でしたが、やはり対面でお互いが意見を闘わせる場の有効性と楽しさを改めて感じました。
新たな局面へ(2022年シーズン)
2021年末、カンボジアサッカー連盟は斎藤聡氏をCEOに迎え、新たなプロリーグ運営会社を設立しました。これによってリーグの活性化、審判員への待遇改善が見込まれるのを機に、審判員がより重責を認識して任務を果たすため、リーグごとの担当審判員を明確化し、より競争意識を生む体制を整えて審判員の資質向上の端緒にしたいと思います。
女性のトップ審判員。右の2人は2022年国際審判に登録