審判インストラクターを対象とした第46回JFAレフェリーキャラバンを12月22日(土)、23日(日)の両日、神奈川県サッカー協会フットボールセンター(かもめパーク)と綾瀬スポーツ公園で開催しました。
年末の開催に向けて事前研修を開催するなど、本番の2日間以外にも神奈川県サッカー協会が一体となって精力的に取り組んでいました。
JFAインストラクターコメント
斉藤仁関東地域審判指導者トレセンマネジャー
審判員育成強化活動の先進県の一つであり、審判トレセン活動が根付いている神奈川県において、今回のキャラバンは「新たな取り組みを担う人材の育成」と銘打って開催されました。対象としたのは、2級・3級・4級の各審判資格別に部会の中心人物であり、神奈川県審判委員会の今後を担う16人の指導者です。プログラムの中心となったアナリシス(審判分析)とプラクティカルトレーニングは、関東地域の審判指導者トレーニングセンターで指導者養成を受けた県の指導者に、事前研修会を実施してもらうかたちを取りました。また県内の社会人リーグの試合映像を事前に配信し、アセスメントごとに良かった点や課題を映像の切り取りとともに事前に準備してもらいました。
当日は異なる部会の4人でグループを4つ編成し、グループ内で持ち寄ったアセスメント結果とピックアップした映像を活用して、①分析の復習講義を行って各自が分析結果を発表②2級インストラクターを試合の担当審判員に見立て、チューターリング手法を生かしながらフィードバックを行う③プラクティカルトレーニングで課題を一つ抽出する④プラクティカルトレーニングの復習講義をもとに「課題を改善できるトレーニング」をプランニング⑤審判員へのプランニングの実践、という一連のトレーニングサイクルを実行しました。最後は、「スキルの活用方法、指導者としての活動機会の立案」を付箋紙に起こし、委員会に提出しました。
部会を横断した環境で参加者からは活発な意見が飛び交い、闊達で深掘りされた討議が展開されていると感じました。トレーニングの実践においては、時間を意識したなかで、審判員自らに気付いてもらうためのプロセスの仕込み、指摘や指導、声掛けなどに苦戦されている様子が伝わってきました。このキャラバンが神奈川県の審判員育成強化活動を確固たるものとし、審判指導者像の策定、審判指導者個人としての指導手法の活用、組織としての活用と進展、そして2019年から予定されている神奈川県審判指導者トレーニングセンターに繋がっていくものと期待しています。
開催FA審判委員長コメント
山口博司神奈川県FA審判部会長
2019年より、関東サッカー協会と協調して神奈川県審判指導者トレーニングセンターを実施予定です。今回のレフェリーキャラバンは、このトレーニングセンターに向けて指導者を対象として開催しました。関東レフェリーデベロプメントオフィサー(RDO)の高橋氏、関東地域審判指導者トレーニングセンターの斉藤マネージャーの指導を仰ぎながら、神奈川県所属の審判指導者が、事前研修会と本番にかけて、比較的若い指導者に指導をする形式としました。神奈川県は全国で2番目の審判指導者数を有していますが、審判員数は2万人を超え、まだまだ指導者は足りません。県内の審判活動にかかる予算の1/3弱を4級トレセン活動にあてていますが、前例踏襲の座学やプラクティカルトレーニングがまだまだ中心のため、3級、4級を中心に指導する指導者へのスキルアップと新しく効果的な指導手法の拡散も狙って、今回は若い指導者を対象としました。
キャラバンでは審判員のレベルアップに繋がる計画や分析(現状・過程・結果)、トレーニングにおいて、各指導スキルを連動した取り組みを学びました。一つ一つの指導スキルは現在の県内活動でも活用しているものもありましたが、審判員のレベルアップを目的とした指導サイクルに連動させた活用までは出来ておらず、さらに一段階、二段階落とし込んだ分析もまだまだと感じました。今後の神奈川県の指導活動にとって非常に勉強となりました。また、参加者の皆さんが非常に真摯に、かつ笑顔で取り組んでくださり、何より指導する楽しさ、喜びを感じていただいたことが最大の収穫だと考えています。キャラバンで学んだ指導スキルを活かし、神奈川県の審判員のレベルアップに貢献していきたいと思っています。
参加者コメント
大谷哲也神奈川県インストラクター部長
審判員および審判指導者の育成状況について、神奈川県の強みと弱みを把握していただいたうえで、来年から始まる神奈川トレセンを見据えたプログラムが作成されました。初めは受講者から緊張感も感じられましたが、講師の方によるアイスブレクのおかげで和やかな雰囲気でのスタートとなりました。キャラバンでは、審判指導者も各部会の枠を越えて一堂に会して情報共有を行うことができました。その中で、ユース審判員の試合映像を元にアナリシス、チューターリング、プラクティカルトレーニングの手法により審判員にフィードバックをする一連の学びのサイクルを体験することができました。アナリシスでは指導者の目線のみならず、考慮点を照らし合わせて正しい判定に導く分析手法を学びました。また、プラクティカルトレーニングでは審判員自身が「どのように見えたか」を大事にして目的と習得すべきことが合致しているかを確認しました。ユース審判員にはフィジカルトレーニングも実施し、彼らにとっても大きな財産になったと思います。このキャラバンを機に、選手が自分の力を出し切れる環境を作り出す審判員の育成を心掛けていきたいです。学んだことを神奈川県イントレに取り入れ、指導スキルを構築していきたいと思います。一方でキャラバンでは、事前準備や講習会のやり方の重要性も改めて感じました。指導スキルの習得により、審判指導者のレベルアップに合わせて審判もレベルアップし、サッカーのレベルアップを支えていければと思います。