「2018年度第2回S/1級審判インストラクター研修会」が6月23日(土)と24日(日)にJFAハウスで開催されました。S/1級審判インストラクターが一堂に会する本研修会は年に2度開催され、今回は2回目の研修会となりました。本研修会では、メインテーマである審判員の評価すり合わせを、特定の試合映像を交えて担当するカテゴリーごとにディスカッションを行いながら実施しました。加えて、本協会審判委員会のトップレフェリーグループよりトップリーグにおけるさまざまなシーンでの判定についてのすり合わせ、そしてRay Olivier氏による講習(Game Empathy・Referee Coaching)を行いました。
インストラクターコメント
柏原丈二 JFA審判委員会指導者部会長
6月23日(土)、24日(日)と第2回S/1級審判インストラクター研修会を実施いたしました。今回のプログラムとしては①競技規則改正の説明②全国大会に向けての共有③ゲーム分析からアセスメントの評価④Ray Oliveir氏からのプレゼンテーションと4つの内容を中心に参加者と議論をしながら進めて行きました。その中でもゲーム分析からのアセスメント評価に関しては、各自の評価を元に他の審判インストラクターと議論をしながら再確認をし、JFAの見解との違いや、ポイントを再確認しながら摺り合わせを行いました。幾つか違う見解がありましたが、考え方などは、共有できたと感じています。更に審判員の強化、育成のためにこの研修会での議論や共有事項などの内容を振り返り、指導者として、活動して頂きたいと思います。指導者部会のメンバーの方々には準備の段階から時間を費やして頂き、研修会の中でそれぞれが役割を遂行して頂き、感謝をしています。ありがとうございました。
受講者コメント
角山勝洋 1級審判インストラクター
今回の研修会は事前に配信された映像から、アセスメントレポートを作成し、それを持ちより、擦り合わせを行う『ゲーム分析』を中心としたものでした。4月に開催された研修に引き続きということで、ポイントとする事象のとらえ方、分析の仕方、ポイントの整理、コメントの記入、全体的な評価、難易度の考え方等、同じグループや参加者の皆さんとディスカッションすることで、一層自身のゲーム分析に対する確認や整理ができ、非常に良い機会となりました。また、Ray Olivier氏の講義では1日目に『Game Empathy』というテーマで講義がありました。EmpathyはSympathyより、より共感・理解が深いときに使う言葉で、競技規則に照らし合わせた対応をすべき場面がほとんどだと思いますが、試合の温度・場面の状況等を共感することで、その場の流れや雰囲気に合わせた対応が必要とする場合もあり、ゲームに対する理解力・共感力を高めることが大切であるということが印象的でした。
2日目の講義は『Coaching』がテーマでした。日頃の審判員への指導の際、こちらの思っているような回答が出てこず、ついつい「教える」「伝える」になってしまうことが多くなっているように思いますが、そうではなく、我慢強く、審判員の考えを引き出すために繰り返し質問をすることで、審判員自ら解決方法を導き出させる、この手助けをすることが大切であると言うことが良く分かりました。この方法は時間を掛けて行う必要があるので、すべての場面で使えるかが難しい面はありますが、今後の試合の振り返りの中で、この手法を使って実践してみようと思っています。今回の研修で吸収したことを今後の活動に生かしていきたいと思います。ありがとうございました。
恩氏孝夫 1級審判インストラクター
年2回開催されるS/1級審判インストラクター研修会のうちの2回目が今回6月に開催され、参加させていただきました。映像分析による審判員のパフォーマンス評価点のすり合わせでは、自分が気付かなかったポイントを的確にとらえている先輩審判インストラクターの方々の眼力に感服しました。1級審判員達は、日々の努力と鍛錬を怠らず常に試合の現場でがんばってくれています。評価レポートは、その良い所を多く感じ取り、評価に反映していくことで、彼らの今後の成長につなげる大切なカルテとなることを再確認することができました。Ray Olivier氏によるコーチングのセッションでは、審判員と会話する際に質問するテクニックを磨くことにより、審判員自らに気づかせ考えさせることにより、次に向けて積極的なチャレンジ(行動)に導く行程の大切さを学びました。試合後の振り返り(フィードバック)でこの手法を用いることにより、審判員のアイデアを引き出し、次に向けて前進させる手助けになるよう会話の質を向上させたいと思いました。
審判インストラクターは、審判員の成長と成功を助ける立場にあります。彼らが自らひらめいたアイデアを信じてチャレンジしていく過程を見守り、成功(審判がうまくいった)体験を導けるようサポートしていきたいものです。今回の研修をとおして、常に自分自身の学びの場であることを意識しながら、一層審判員と向き合い寄り添っていきたいと思いました。