9月23日(土・祝)、24日(日)の2日間、JFAレフェリーキャラバンを奈良県(奈良学園中学校・高等学校)で開催しました。
奈良県で活動している審判員と審判インストラクターが、2日間で延べ70名近く参加しました。その他、1日目にオブザーバーとして奈良高校サッカー部の皆さんが参加し、2日目にもプラクティカルトレーニングの選手(一部審判員)として奈良学園中学校・高等学校のサッカー部の皆さんが参加するなど、多くの方の協力を得ながら2日間のプログラムが実施されました。
審判インストラクターは1日目に「チュータリング」の紹介と、翌日午後の実践に向けた準備を行いました。準備を終えたあとは翌日午前の「プラクティカルトレーニング」のプランをグループ毎にディスカッションし、指導の方向性を定めました。審判員は1日目にプロフェッショナルレフェリーの講義と、国際サッカー連盟(FIFA)から提供されている教材(ティーチングマテリアル)を使用した判定基準の確認を行いました。2日目は奈良県の審判インストラクターが前日の準備を基に、新しい指導方法を試みる機会として、プラクティカルトレーニング、チュータリングを実践しました。
奈良学園中学校・高等学校の教室、会議室、グラウンドを使用し、集中した環境でのキャラバンを実施することができました。今までにない新しい刺激を奈良県の審判員・審判インストラクターに伝えられたキャラバンとなりました。
JFAインストラクターコメント
柳沢和也関西地域審判指導者トレセンマネージャー
奈良県審判委員会の皆さんとの準備段階で今回のキャラバンの位置づけは、奈良県の将来に向け、審判に関わる皆さんのより良いコミュニケーション作りの「きっかけ」にしたい思いが感じられました。そのために「楽しく」「元気よく」をモットーに2日間のキャラバンを進めることで、「学び」そして「広める」に繋げたい思いでプランニングを進めました。冒頭ではJFA将来構想から関西審判指導者トレーニングセンターの考えを示させていただきました。そして具体的に奈良県でどのような活動が必要かのご意見をインストラクター・審判員の皆さんから頂くことで、それらを展開するためのイメージ作りができたと思います。インストラクターの研修では、プラクティカルトレーニング、チュータリングについては1日目に手法・考え方から実践見本及びプランニングシートの内容確認を、参加者全員で意見を持ち寄り一つにまとめました。
2日目の実践では皆さんが積極的に「挑戦」されていたことが一歩踏み出すきっかけとなりました。時間配分や審判員からの意見を引き出す「我慢」が今後の課題となります。最後に今後どのように活動を進めるかの意見交換では、奈良県内で実施のレフェリースクール等にチュータリングの手法・審判員からの意見の引き出し方を継続的に進めるご意見が印象的でした。準備段階から積極的に動かれたスタッフの皆さんのまとまりある対応が今回の成功に繋がった、元気をもらえたキャラバンになりました。ありがとうございました。
開催FA審判委員長コメント
城野聖一奈良FA審判委員長
2015年度にスタートしたレフェリーキャラバンを奈良県でも開催しなければならないと思ってきました。昨年度末に2017年度中に奈良県で開催することを決め、日本サッカー協会の柳沢インストラクター、太田インストラクターのお力を借り、県内ではプロジェクトチームが中心となり、2日間の計画を立て、キャラバン当日を迎えることができました。今回「1級審判員を継続して輩出できる県となるために」をテーマに実施しました。テーマに沿い、ユース審判員の発掘、審判員全体の育成、強化、そして審判指導者の育成、強化を行うために、審判員、指導者がそれぞれ別に行うパートと、共に行うパートをプログラムに組み入れていただきました。
審判員の活動では、木村プロフェッショナルレフェリーから審判の魅力、資質について御講義いただき、ユース審判員並びにアクティブ審判員によい刺激を与えていただきました。またプラクティカルトレーニングでは一緒に参加していただき、気軽にレフェリングについて質問できる場を設定していただきました。また、審判指導者に対しては、柳沢インストラクターに9月2日(土)、3日(日)に県内で開催した関西地域の審判指導者トレーニングセンターから今回のレフェリーキャラバンに向けた下準備をさせていただいたことも、インストラクター間で話し合う場でのプラス材料になったと思います。また、太田インストラクターからは個別に審判員への指導についてご助言いただき、審判指導者がここで審判員に何を伝えるべきかをより的確に示していただきました。3人の皆様には、今回ねらいとしたことをすべて満たしていただき、本当にありがたく思います。
今回会場をご提供いただいた奈良学園中学校・高等学校の先生方、デモンストレーターを務めていただいたサッカー部の選手の皆さん、多くの方の協力を得て、2日間の活動を終えることができました。審判員、インストラクター共々、御協力いただいた皆さんと御指導いただいた方々への感謝を忘れず、2日間で学んだものや気付かせていただいたことを今後の活動に生かしていければ、恩返しになると考えております。奈良県の審判員、審判指導者がこの2日間の学びに、ステップアップしなければならないと改めて感じております。2日間、貴重な経験の場を御提供いただき、本当にありがたかったと感謝しております。
受講者コメント
遠藤孝晃奈良FA2級審判インストラクター
「1級審判員を継続して輩出する県となるために」をテーマとした今回の開催でした。JFA将来構想及びキャラバンに関する講義は、柳沢インストラクターの非常に分かりやすいお話が伺え、奈良FAの目指すべきところも少しですが見えた気がします。PR木村博之氏の講義は、レフェリーを育成していく我々にとってもたいへん魅力的で、今後の活動に対する意欲を高めていただきました。プラクティカルトレーニングに関しては、これまで以上に理解が深まり、「シンプル」であることの重要性を再確認することができました。チュータリングについては、1日目に、柳沢インストラクターから「チュータリングとは」の講義及び「ダイヤモンド9」の実践を受け、2日目には、私含め2名が、審判員に対して行う実践を体験させていただきました。初めてのことでもあり、難しさもありましたが、楽しみながら多くのことを学ぶことができました。
今回のキャラバンを通して、審判員同士やインストラクター同士、審判員とインストラクター間の距離が縮まったような気がしております。また、JFA将来構想へとつながる奈良FAの取組づくりの「きっかけ」として、極めて大きい意味をもつ研修会となりました。JFAインストラクター並びにスタッフの皆様におかれましては、開催当日2日間はもちろんのこと、準備段階から適切に導いていただき、本当にありがとうございました。
奥村勇磨奈良FA2級審判員
今回のレフェリーキャラバンのテーマの一つに「動き」があり、主審、副審の動きについてのプラクティカルトレーニング及び振り返りを行いました。その中でも主審の動きに関しては、PRの木村氏にも一緒に参加していただき、生でトップレフェリーの動きを観られたことはお話を伺う以上に分かりやすいものとなり、とてもよい勉強でした。特に体の向きもポジショニングの一つであるということを学び、体の向き一つで素早く次の争点に行く動きを観られたこと、知ることができたことは非常に大きな収穫でした。副審の動きに関しては、動きだけでなくオフサイドの判定をビデオ撮影をしながら行い、自分の感覚と実際とはどれだけ違うかを明確にし感覚の修正が必要だということを感じました。主審でも副審でも、「動き」は今の私の課題にしていたので、とてもよい講義になりました。講義以外でも、木村氏に質問をたくさんすることができ、奈良県にはいないPRの方に普段は伺えないお話を伺え、とても有意義な時間を過ごせました。今回学んだ事をこれからのレフェリングに繋げていつかは自分もPRになれるように日々努力していきます。本当にありがとうございました。