6月24日(土)、25日(日)の2日間で延べ110人のS級・1級審判インストラクターがJFAハウスに集合し、2017年度第2回S/1級インストラクター研修会が行われました。今回は2017年6月より施行された競技規則2017/2018の改正や審判インストラクターが審判員を評価するためのアセスメントレポートに関する記載方法の伝達、さらに、今年から新たに立ち上がったNC(ナショナルカテゴリー)の活動や取り組みなどが報告されました。
今回の研修会では、「さまざま手法による指導」というテーマでグループワークを行いました。参加者は事前に共通の映像を確認し、そのシーンから審判員の改善点とそれを克服するための指導について、チュータリング、ティーチング(プレゼンテーション)、プラクティカルトレーニングの3つの指導手法で指導プランを作成するという課題が出されました。各自で作成した指導プランを持ち寄り、グループワークを通して最適な指導プランを作成し、その内容を全体で共有しました。
インストラクターコメント
柏原丈二審判委員会指導者部会長
競技規則2017/2018の改正点、7月より開催される全国大会を担当する主審・マネージャーを対象に研修会の運営方法を伝達するミーティングを行いました。今回の研修では、大きなテーマとしてプラクティカルトレーニング、プレゼンテーション、チューターリングの3つの指導手法を使い、どの様に審判員にアプローチをしていくか、S級インストラクターを中心にグループワークをし、資料を作成し、発表を行い、それぞれの良い点や、修正点などを議論し、審判員の指導にどうアプローチしていくか、コーチングをしていくかを確認しました。チューターリングに関しては、あまり経験のない方々を中心に、どの様に審判員にアプローチをしていくのかなどを体験して頂き、チューターリングの手法を確認しました。いずれのセッションも、積極的な議論がなされ、新しい発見もあり、短い時間でしたが、内容の濃い研修になりました。参加者の皆さんには、是非今回の研修会で経験した事を地域や都道府県の研修会で活用をして頂きたいと感じています。また、今回の内容を振り返り、良い点、修正点を整理し、今後の指導者の研修会に繋げていきたいと思います。
受講者コメント
浜田章治 1級審判インストラクター(鹿児島)
今回の研修は新たな試みもあり、今まで以上に有意義なものとなりました。事前に4シーンによる映像を分析し、3グループでプレゼンテーション、チュータリング、プラクティカルの指導法を学びました。1日目はそれぞれの分科会でディスカッションし、全体の意見を集約しました。私はプレゼンテーションのグループでしたが、映像の切り取り、コマ送り、連続写真等様々な手法があり、今後の指導に参考となるものばかりで、みなさんのレベルの高さを痛感しました。2日目は3グループそれぞれの発表がありました。チュータリングについては、以前講義を受けたこともありましたが、審判員の目線に立ちポイントを絞り、掘り下げる手法で、あくまでも審判員が主体であると再認識しました。今までも審判員の立場に立ち指導してきたつもりでしたが、改善点を押しつけてばかりいたように思いました。審判員の目線で具体的に掘り下げて指導する事が、彼らのレベルアップにつながっていくのだと今回の研修で感じました。今後の指導に活かしていきたいと思います。ありがとうございました。
金崎良一 1級審判インストラクター(長崎)
今回の研修も得ることがたくさんありました。私にとって以下の2つが、特に今後の指導の心得に活かしていきたい点となりました。1つ目は、「逆の視点をもつ」という考え方です。石山昇インストラクターのチュータリングでは、課題の映像(ミドルサードにて、審判員がパスコースの邪魔になっていると感じ、バイタルエリアとは逆方向にバックステップを踏むことで縦パスへの対応が遅れ、重要な局面を近くで判断できなかった)をみて、「邪魔にならない」ことを、「本当に邪魔になっているのか」という問いからスタートし、「本気で邪魔すること」から、「邪魔にならないこと」を考えさせるという手法を学ぶことができました。逆からの発想による指導は新鮮でした。自身の一部で固まりつつあった「指導」という概念を崩していただきました。
2つ目は、よりよい評価に向けての取組方です。アセスメントレポート自体、自身においては数少ない機会ですが、自分自身で納得いくレポートに仕上げることがこれまでできませんでした。従って、そのレポートを受け取った審判員がすべて納得できるものではなかったと考えています。アセスメントレポートの記載に関して指導者全体から質問を受けていたが、その情報を共有することにより、自分と同じような思いをもった指導者が多くいたことや、グループでの意見交換により、悩みとその解決のための考え方を知ることができました。また一方で、悩むことは次へのステップであると実感できました。審判員の成長のために、たくさん悩み、それを共有し解決しながら、自身の評価をより客観的で妥当性のある評価につなげていきたいと思います。今後、より多くの審判員をより高いところに引き上げるために、研修を積み上げていく意欲が高まった研修会でした。